(旧)頸肩腕障害
頸肩腕障害とはどのような病気でしょうか?
1.はじめに
頸、肩、腕の凝りや痛みのある患者さんのうち、仕事に由来すると考えられる患者さんに、この病名を付けます。
もう一つ頸肩腕症候群という病名もありますが、この病名は仕事との関連がハッキリしない患者さんに付けます。
どのような仕事と関連するかと言いますと、昔はタイピスト、キーパンチャー、スーパーのレジスターを打つ人などに多発しました。 いわゆる静的筋動作の繰り返し作業です。腕を大きく動かさないで指を細かく動かす作業で、肘は中に浮いています。
最近はこのような職種が無くなりましたが、代わりにパソコンが出てきました。製品の目視による最終検査もあります。
最近の特徴の一つに、身体を良く動かす人にも、このような症状が目立つようになったことがあげられます。
・保育施設の保育士
・給食の調理員
・スーパーなどの商品の仕分け作業等です。
2.どのような訴えがありますか?
肩が凝る、首筋が凝る、前腕がだるい、背中が痛い、腰が痛い、手が冷たい、、脚が冷える、手にハンドバッグなど下げているのがつらい、電話の受話器を持っているのがつらい、不眠、頭痛等で頸肩腕の疲労と自律神経の失調が目立ちます。ひどくなると腕時計をはめているのさえ苦痛になります。
3.どのような症状がありますか?
持続的な筋力が低下します。
頭部保持テスト、上肢保持テスト、下肢挙上位保持テストにて素人でも容易に判断出来ます。
図1 頭部保持テスト
頭を床から7cmほど浮かして何秒保持できるか?を計る。60秒出来れば正常
図2 上肢保持テスト
上肢を伸ばし肩の高さで保持する。3分出来れば正常
図3 下肢保持テスト
膝を伸展させて、踵を床から30cm挙げた位置で保持する。60秒で正常
図4 筋肉他の圧痛
よく使う筋肉や筋腱付着部というところに、圧痛が強く出ます。
図5 関節他伸展させると痛みます。
肘関節と手関節を同時に伸展させると痛みが出ます。
図6 頸を左右へ側屈させると痛みます。 後屈させても痛みます。
図7 肩関節を充分に伸展出来ません。
血液検査、X写真では異常が認められません。
4.治療はどうしますか?
先ず安静です。疲労した筋肉、靱帯、筋腱付着部、腱、自律神経を休ませることです。
症状の程度にもよりますが、症状の強い人は2ヵ月くらいの休息をとって、それから身体の再建です。リハビリと言っても良いでしょう。
お薬は疼痛の強いときには鎮痛剤を服用してもらいますが、痛みを止めるだけで治す薬はありませんから、症状の強いとき以外は必要ありません。
湿布は多用しています。
ストレッチング:酷使したため硬くなった筋、靱帯を伸ばします。
図8 手を出来るだけ内側に回してする
指の関節のストレッチング
DIP関節
PIP関節
筋力UP:仕事のため使いすぎて弱化した筋肉靱帯と、逆に使わずに弱化した筋肉靱帯を強化します。
物理療法:パラフィン浴、マイクロ、頸椎牽引などを適宜組み合わせます。パラフィン浴は、特に寒い時期に好評です。
精神的なサポート:周りの人から理解されない病気にかかり、多くの患者さんは孤立したように感じ消極的になります。仕事のし過ぎでなったことを理解してもらい病気と共存することを学び積極的に生きるよう支援します。
5.予防
頸肩腕障害は治りにくい病気ですから、予防が大事です。
仕事のし過ぎが原因ですから、仕事の仕方を工夫しなければなりません。パソコンなど目が最初に傷害されますから、視力が落ちるようであれば危険信号です。
45分打ったら、15分休むという打ち方をしなければなりません。人間の体は個人差が大きいですから、他の人が平気な仕事でも、耐えられない人はたくさんいます。
従業員を使い捨てにする企業も多いですから、上司とよく話し合うことも大事です。
日頃から体を鍛えるように、長続きするようなスポーツをすることも必須です。
