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1.はじめに ゆび曲がり症とは、全日本自治団体労働組合(=自治労)が、1983年頃岡山県の学校給食調理員に手指の第1関節(遠位指節間関節=DIP関節)に腫脹、疼痛、変形が多発しているのに気がつき、岡山大学の衛生学教室に調査を依頼したのが始まりです。 以降、仕事のために指が変形したものを全て「ゆびまがり症」と呼ぼうと組合を中心に話が進みました。従って、関節の病気で指が変形する変形性関節症(ヘバーデン結節、ブシャール結節)や腱の病気で変形するスワンネック変形、弾撥指、槌指 神経の病気で指が変形する尺骨神経麻痺などを含みます。 実際には、指の変形の9割以上が変形性関節症です。 整形外科医は遠位指節間関節に変形性関節症が生じたものをヘバーデン結節と呼び、近位指節間関節に生じたものをブシャール結節と呼びます。
2.変形性関節症とはどのような病気ですか?
80歳になると8割の人がどこかの関節に変形性関節症を持つと云うことは、明らかにされています。 最もポピュラーなのが手指の変形性関節症(ヘバーデン結節)ですが、膝に水の溜まる病気の大部分は膝の変形性関節症です。
高齢になるに従い増えますから、大雑把に老化現象とかたづけるのが従来の医学でしたが、自治労の提起で仕事でなると云うことがはっきりしてきました。
整形外科学会は仕事で病気になると云うことに言及するのが許せない学会ですから、今なお加齢が原因だの、ホルモンが原因だのと言う整形外科医が多いのが困りものです。遺伝が一部関与していることは、わかってきました。 3.どのような訴えですか? 手指の関節が節くれ立って、触ると結節が触れます。今まではめていた指輪がはまらなくなったと言います。 初期の頃は熱を持ち痛くて眠れないと言います。これは関節が炎症を起こしているためですが、学校給食調理員のように毎日仕事があって、手を使わねばならないような人は、末期になっても炎症を起こし痛みます。関節の背面が何かものに当たると跳び上がるほど痛いと言います。 関節の動く範囲が狭くなります。 仕事で毎日手に軽い炎症が起こりますから、朝は手がこわばりますが10分くらい続き自然に治ります。リウマチのように1時間も続くことはありません。 4.どのような症状ですか? 関節の腫脹、変形を認めます。関節の可動域が減少します。関節の周径が増大します。 感覚障害はありません。握力も痛みの強いとき以外はそれほど落ちません。 血液検査は異常ありません。 X線検査では、変形性関節症の像を示します。 すなわち 関節列隙の狭小化、軟骨下骨の骨硬化、骨棘の形成、骨嚢腫の形成です。指の軸の偏位も認めることがあります。
5.治療はどのようにしますか?
何よりも安静です。手指の酷使によるものですから手指への負担を軽減することが重要です。 FINGUARD(フィンガード)というDIP関節を伸展位に保持する装具もあります。
特に寒い時期にパラフィン浴が好評です。
関節が序々に曲がってきますから指の関節のストレッチングも重要です。
6.労災職業病との関係はどうですか? 田島診療所で67人の人が労災と認めらました。 65人が学校給食調理員で公務員です。 2人は民間で1人が特別養護老人ホームの調理員、他の1人はプラスチック基板の加工を30年してこられた方です。 公務員の場合は公務災害と言いますが、不幸にも裁判にて争うこととなった方もいらっしゃいます。しかし裁判は目下連戦連勝中、勝率100%です。私の関係した人は豊中市、安木市、宝塚市の学校給食調理員さんですが全員、公務災害と認められました。私が証人に出たわけではありませんが堺市でも3人勝利しています。 |